『一九九〇年以降の現代美術は、グローバリゼーションの他の流れと合わさって、社会生活のなかで出会うさまざまな視覚的イメージとの相互浸透をくりかえし、それ以前の美術とは異なるものに変容し、イヴ・ミショーの表現によれば 、気化して「ガス状」のものとなって、地球上にあまねくただよっているのである [*]』
【小倉正史著作選集『現代アートはどこへ行く?』/ 2022 / 水声社】
[*] L'Art à l'état gazeux : essai sur le triomphe de l'esthétique, 2023
「グローバル」という言葉が一般に使われるようになって久しい。 わたしたちの日常生活においても、もはやこの言葉を聴かない日はないようにさえ思われます。
「相互関係の親密化」「複合的結合」「ハイパー·コネクティヴィティ」... その状況を言及する語彙は多々あれど、しかし果たしてわたしたちの思考は、この現象に順応するように充分に「球体化」しているのでしょうか。わたしたちはどれほど身体の実感を持って、地球の裏側の出来事を思考することができるのでしょうか。
『キカ・コンテンポラリー・アート・スペース(KIKA cas / 旧:キカ・ギャラリー)』は 2020年9月、(1) インターナショナルであること、(2) コンテンポラリーであること、(3) インタラクティブであることを目指し、京都市北区に誕生しました。
グローバル化した人間の活動が南極の氷を溶かし、熱帯のジャングルを焼き、ますます熱を発する放射性物質のかたわらで新しい地層の定義が議論される。人工知能がセンサー内蔵の道路を走り、やがて特異点に差し掛かる集積情報からはじき出された「合理的な選択」が、人類の足元を照らし始めているような今日。わたしたちはかつてないこの豊穣の苦難に、一体どのように向かい合ってゆくべきなのでしょうか。
伝統文化の根付く古都·京都で、現代アートを通して同時代の様々な運命と向かい合う。キカは国境に囚われない、世界市民的な発想と開かれた対話のプラットフォームを築くことを目的としています。
2020年9月 石井潤一郎


・ 地下鉄烏丸線「丸太町駅」から徒歩約15分。1番出口を出て丸太町通を東へ進み、「河原町丸太町交差点」を左折し、北に進むと右手に見えます。
・京阪本線「神宮丸太町駅」から徒歩約10分。3番出口を出て丸太町通を西に進み、「河原町丸太町交差点」を右折し、北へ進むと右手に見えます。