Loading

日本の漆工芸において培われた美の基準を「秩序」と捉え、そこから逸脱する要素をあえて同一の作品内に共存させることで、漆工芸を人間の共感と拒絶の境界を探る手段として用いる。漆工芸では、支持体の形を損なわずに漆を均一に塗り、研磨を重ねることで凹凸のない塗面を生み出すことが「良し」とされる。私はこのフラットな表面を「伝統的な価値=秩序」の象徴と捉え、その価値観を前提に、メアリ・ダグラスやヴィクター・ターナーが示唆する「境界的存在」を意図的に生成する。一般的な美醜の感覚が共存し、曖昧な状態が生じたとき、鑑賞者はより自由で主体的に作品を吟味することが可能になると考えている。
1998年滋賀県生まれ。2025年、京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻漆工修了。
日本の漆工芸で育まれた美の「秩序」に対し、そこから逸脱したもの=「忌避されるもの」を意図的に作品内で共存させることで、人間の共感や拒絶の境界を探る。また、完成品よりもプロセスに重きを置き、制作過程や経過を可視化することで、文化としての漆工芸を再考する試みをしている。受賞歴に、第42期国際滝冨士美術賞優秀賞(2021)、京都市立芸術大学作品展同窓会賞(2025)など。